ピザを焼くためには石窯が良いワケ

石窯の魅力

専門レストランのピザのイメージは、大きな石窯で焼く点でしょう。これは雰囲気と共に美味しさのポイントになっているように思えます。


なかなか家庭ではこうした本格ピザを焼くことはありません。何より真のナポリピザというのは、薪火の石窯で調理しなければならないとされています。やはりポイントは「石窯」にあります。


石窯(いしがま)は、いわば昔のオーブンです。材質は耐火性の煉瓦、岩石、コンクリート、粘土などいろいろですが、いずれにしてもこうした材質の空間で調理するわけです。


伝統的な薪や石炭の窯が一般的だったのは19世紀の頃です。もともとパンやピザの専用品ではなく、昔は焼き料理全般に利用されていました。実は近年の石窯では天然ガス窯が多くなっており、電気窯もあるのです。ただし、本物のナポリピザなら、薪火の石窯で焼きあげなければならない、という点が本格レストランのこだわりとなっているのです。


こうした伝統的な薪火の石窯は発祥欧米では「ローマ」、「ブラック」窯とも呼ばれたもので、中世ヨーロッパ時代までさかのぼることになります。燃料となる木材の煙が窯の天井にすすになって付くので「ブラック窯」というわけです。


アメリカでも植民地時代に石窯が広まり、現在でも、パン屋、ピザ店、焼き料理を専門とするレストランでは結構使われています。


この石窯の機能な特徴は、炎の熱放射を閉じ込める状態にすることです。炎はオーブン内や窯に通気孔がつながる火室で燃焼します。煙は石窯の前から外部へ出ていきます。石窯の扉の真上に煙突があればそこから排出されます。基本的に前面に出し入れ口があるわけですが、石窯は上部が開くオーブンよりも熱効率が高く、余熱と弱火でも長時間焼くことができるのです。